戦術コラム

Toplock攻略【Reject Ricky DHO / Screener Pop】

はじめに

シーズンが進むにつれて、松井のOff ScreenはToplockで守るのがB3内の相場となっている。

香川はそのToplockに苦戦し続けているが、第25節山口戦Game2では良いカウンターを見せる場面がいくつかあったため、今回はそれらの場面をまとめていく。

参照元である第25節山口戦Game2の実況考察記事はこちらから。

Toplockとは

Toplockを以下図のPindown(x2)を例に説明する。
Toplockとは、x2のようにScreen Userの進路を塞ぎ、スクリーンを使わせないようにするOff Screenの守り方のこと。

この時、x2のToplockだけだと左図のように2のRejectで簡単にカウンターされてしまう。
そのため、Rejectを守るために、Toplockは右図のようにx5の裏ケアとセットで行われるのがセオリー。

以上がToplockの基本的な説明。

個人的希望のToplock攻略

個人的にこのToplock + 裏ケアの、最も基本的かつ効果的な攻略法と考えているのはScreener Pop。
図のように、Screenerの5がPopしてパスを受けるシンプルなやり方。

このScreener Popは、
Toplockするx2が対応してくる場合はMUMが発生する(左図)。
一方、裏ケアするx5が対応してくる場合はCOSが発生する(右図)。

Screener Popはこの上なくシンプルなパターン。
しかしScreenerが3ptラインで引力を持つBigであれば、どう転んでも何らかのチャンスになる構造となっていて強力。

香川はラベネルかランダルをScreenerにすれば、このパターンの発動が可能。
これまでこのパターンを使う場面はあまり見られないが、ぜひ使ってみてほしいと思っている。

では、Screener Popを使わない香川は、山口戦Game2でどのようなToplock攻略を見せたのだろうか。

香川のToplock攻略

まずは松井ダマPindownでのReject Ricky DHOから。

2Q 6:40
PindownでToplockされる2の松井が、Rejectでx2を揺さぶる。
Toplockのスタンスが解除されたタイミングで再びスクリーンに向かい、DHOでx2を剥がした。

RejectでToplockを緩和する、という考え方のプレー。
Toplockされてしまったら松井はスクリーンを使えない、とはさせない工夫と言える。

2Q 5:02
再びReject Ricky DHO。
今回も松井がRejectでToplockをほぐし、DHOでスクリーンを使うことに成功した。

この試合、Reject Ricky DHOはこれ以降使われなかった。
たしかに、「Rejectで揺さぶっておいてDHOに戻るんでしょ」とDefにバレてしまったら、いずれToplock + 裏ケアの維持で適応されてしまうイメージはつく。

続いてScreenerがラベネルに代わってのプレー。

2Q 4:20
松井ラベネルPindownに、x2はToplockのスタンスを作っていたが、松井がRejectを匂わせるとx2はChaseのスタンスに変更。
Toplockから解放された松井が通常通りPindownを開始してチャンスメイク。

このポゼッションのToplock解除の背景には、x5の裏ケアの甘さがあったと考えられる。
ただ、これはx5の単純なミスとは言えない。

というのもScreenerがラベネルだったことで、ダマの時とは違って松井のRejectだけでなくラベネルのScreener Popも警戒しないといけない状況だった。
つまり、「裏ケアでToplockをサポートする」か「ラベネルのScreener Popに備える」の二者択一で仕方なく後者を選んだ結果、香川が見事にその逆を突いたと解釈できるということ。
Defのミスではなく、構造的にOffが優位だったというだけ。

やはりScreener PopのオプションをDefに意識させるのは、Toplock攻略において非常に重要だと思う。

引き続きラベネルがScreenerのポゼッション。

2Q 2:52
はじめにランダルラベネルPnPでPop Feed。
その後Veer的に松井ラベネルDHOに移行していく中で、松井がToplockに対してRejectしてパスを受けることに成功。

ここも裏ケアが不十分だったことでRejectが効果的になった場面。
2Q 4:20同様、ラベネルの3ptラインでの引力によって、x5の裏ケアを阻止したポゼッションであると説明できる。

vs ToplockのScreener Popの構造は、PindownからだけでなくPnPからも作ることができる。
非常に興味深い、学びになるポゼッションだった。

最後に

個人的なToplock攻略法を示した上で、香川が実際に見せたToplock攻略を4ポゼッション紹介した。

選手によって選べるオプションが変わってくることがよく分かる内容だった。
ScreenerがダマであればReject Ricky DHO、ScreenerがラベネルであればScreener Pop、といったように。

一通り書いて改めて感じたが、Toplock攻略としてScreener Popを積極的に使わない手はないと思う。
松井、ラベネル、ランダル、とてもB3レベルではない彼らの能力を最大限活用したい。

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