戦術コラム

2-3Zone Shiftにハメられやすい配置、ハメられにくい配置

はじめに

第22節の福井戦から、「ハメられやすい配置」「ハメられにくい配置」という言葉を使ってPost Up時の配置を表現するようになった。

少しの気づきから大きな学びが得られた気がするため、今回はこれらの配置について整理しておく。

2-3Zone Shiftとは

2-3Zone Shiftとは、Post Upに対して、マンツーマンから2-3Zoneのようなヘルプポジションに可変するDefコンセプトのこと。

2-3Zone Shiftはペイントエリア内の守りを固めることができるため、Post Dとして多くのチームが採用している。

ちなみに、2-3Zone Shiftという用語は個人的な造語。
何かしらの一般的な呼称はあると思うが、それを知らないため名付けた。
そしてこの2-3Zone Shiftによって、Offがどこにもチャンスを見出せなくなる状況を「ハメられる」と定義した。

その上で、ハメられやすい配置とハメられにくい配置についてここから整理していく。

ハメられやすい配置

DS + Weak Corner + Weak Wing

Weak SideのDS、Corner、Wingが全て埋まっているとハメられやすい配置になる。

この配置だと、図のように4から2へのパスコースが潰れてパスできないため、実質的に2がコートから消えることになる。
こうなるとDefはローリスクでヘルプに出られるため、Offは選択肢が限定されてしまい、最終的にハメられる。

ハメられにくい配置

一方でハメられにくい配置が以下の通り。
主に2種類の配置が考えられる。

DS + Weak Corner

1種類目は、TopとWeak Side (DS + Corner)の配置。

この配置だと、2-3Zone Shiftされても5か2のどちらかへのパス、もしくは4自身の1on1でチャンスを作れる。

難易度は高いが、DSがx2にFlare Screenをかける選択肢もある。
香川はランダルPost Up時に、Weak Cornerに松井を配置してこのFlareをやることがある。

Weak Corner + Weak Wing

2種類目は、TopとWeak Side (Wing + Corner)の配置。

この配置に対する2-3Zone Shiftには、2通りのやり方がある。
1つ目は、Weak Cornerが後衛中央になるやり方。

この2-3Zone Shiftには、CornerもしくはWingからのDiveでチャンスを作れる。

また、後衛中央に入るx2はSmallであるため、4がx2のヘルプを気にせずペイントアタックすることも十分に可能。

2つ目は、Topが後衛中央になるやり方。
これは主に、「Bigを後衛中央に据える」というルールのDefに対して、OffがBigをTopに配置した場合に起こるパターン。

この2-3Zone Shiftには、強制MUMでチャンスを作ることができる。

例外パターン

ここまでハメられやすい配置とハメられにくい配置について説明してきたが、これらには例外がある。

ハメられやすい配置でもハメられないパターン

Postの4がミドル側へドリブルできた場合は、ハメられやすい配置だったとしても、ハメられずにチャンスを作れる。
右図のようにWeak Sideの全員に対してパスコースがあるため、という理由。

逆に言うと、Defが2-3Zone Shiftする際はベースライン側にディレクションするべき、ということになる。

ハメられにくい配置でもハメられるパターン

5がノンシューターの場合は、ハメられにくい配置だったとしても、ハメられてしまう。
3ptの脅威のない5が捨てられて、ヘルプを分厚くされるため、という理由。

これはノンシューターが2でも3でも同じことが言える。
解決策としては、ノンシューターをDSに配置したり(左図)、Diveさせたり(右図)するなどがある。

ただ、ノンシューターがオフボールの4人中2人以上になると、どう工夫しても誰かは捨てられてしまい、ハメられる運命を辿る。

ハメられにくい配置からハメられやすい配置に陥るパターン

ハメられにくい配置から始まっても、Laker Cut後にハメられやすい配置に陥ってしまうことがよくある。

この場合はLaker Cutに合わせてFillすることで、ハメられにくい配置を維持できる。

2-3Zone Shift以外のPost Dだった場合の可能性

定位置でのPost Dだった場合の可能性

DSを埋めていると、DSからの単純なRim Protectionに苦しむ懸念がある。
x5がある程度能力の高い選手だと、マークマンのケアとPostへのRim Protectionを両立できるため、そもそも2-3Zone Shiftするまでもなく守られてしまう。

このリスクはハメられやすい配置にもハメられにくい配置にも等しく存在する。
個人的にはこのリスクがすごく気になるため、Post Up時にBigをDSに配置するのは好きではない。

もちろん、3ptを打てないBigであればDSに配置するしかないため、その場合は仕方ない。
ただその場合でも、PnRなど別のプレーの可能性を探った後の最終手段として、この配置のPost Upを選びたい。

パサーからのPost Doubleだった場合の可能性

パサーからのPost Doubleで守ってくる場合は、ハメられやすい配置と表現した配置の方が適していることもある。
この配置だとPost Doubleに対して、パサーへのリターンパスやLaker Cutでチャンスを作りやすい。

終わりに

2-3Zone Shiftに関するOffの配置について、現時点で整理できていることは全てまとめられたと思う。

香川を例に挙げると、ランダルダマの組み合わせでランダルPost Upをするときは、大抵ハメられやすい配置になる。
一方で、ラベネルダマもしくはラベネルランダルの組み合わせだと、ラベネルTop Stretchでハメられにくい配置を作れる傾向にある。

ラベネルの有無で香川のスペーシングが驚くほど違ってくるように、配置次第でPostの精度は全然変わると思っている。
めちゃくちゃ時間があるときに、配置によるPostでの得点効率についてデータを採ってみたい。

以上。

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